「健康診断で血圧が高めと言われた」
「朝起きると、なんとなく頭が重い」
そんな血圧を気にしている方へ、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
それは、「早朝の血圧急上昇」の危険性です。
実は、一日の中で最も脳卒中や心筋梗塞が起こりやすいのは、「朝目覚めてからの数時間」だということをご存知でしょうか。
特に、季節の変わり目で気温差が大きい時期や、暑さで体が脱水気味になりやすい時期は注意が必要です。
ここでは、命に関わる朝の血圧変動「モーニングサージ」の仕組みと、今日から実践できる「命を守る朝の習慣」について解説します。
■ 危険な「早朝高血圧(モーニングサージ)」とは?
私たちの血圧は、一日の中で変動しています。通常、睡眠中は低くなり、朝目覚めるとともに活動に備えて上昇し始めます。
しかし、この朝の血圧上昇が急激すぎる場合、それを「モーニングサージ(早朝高血圧)」と呼びます。
寝ている間は副交感神経が優位でリラックスしていますが、起床とともに交感神経が活発になり、血管が収縮して心拍数が増えます。この切り替えが急激に行われると、血管に強い圧力がかかり、動脈硬化で脆くなった血管が破れたり(脳出血)、血栓が詰まったり(脳梗塞・心筋梗塞)するリスクが一気に高まるのです。
■ 命を守る「朝の習慣」7選
モーニングサージによる突然の病を防ぐためには、朝の行動を少し変えるだけで大きな効果が期待できます。今日からできる7つの習慣をご紹介します。
① 起床後、すぐにガバッと立ち上がらない
目が覚めたら、まず布団の中で深呼吸をしましょう。次に手足の指を握ったり開いたりして軽く動かし、血流を促してから、ゆっくりと体を起こすようにします。急な体位変化による血圧の乱高下や立ちくらみを防ぎます。
② コップ1杯の水(白湯)をすぐに飲む
人は寝ている間に、汗や呼吸でコップ1杯分以上の水分を失っています。起床時は体が脱水状態にあり、血液がドロドロで固まりやすい状態です。起きたらすぐに常温の水や白湯を150〜200mLほど飲み、水分を補給しましょう。
③ トイレの後に軽く体を動かす
朝の排泄時は、いきむことで血圧が上がりやすくなります。トイレの後は、深呼吸をしながら軽く伸びをしたり、簡単なストレッチを行ったりして、血管への負担を和らげ、血圧の緩やかな上昇を促しましょう。
④ 室温を適切に管理する(特に冬場と夏場)
急激な温度変化は血管を収縮させ、血圧を上昇させます。冬の寒い朝は、起きる前に暖房で部屋を暖めておきましょう。夏の暑い夜は、熱中症と脱水を防ぐため、エアコンを適切(28℃以下を目安)に使用し、快適な睡眠環境を保つことが重要です。
⑤ 朝のシャワーや入浴は要注意
熱いお湯でのシャワーや入浴は、急激な血管の収縮と脱水を招き、非常に危険です。朝に入浴する場合はぬるめのお湯にし、長湯は避けましょう。入浴前後の水分補給も忘れずに行ってください。
⑥ 朝食を抜かず、バランスよく食べる
朝食を抜くと、空腹によるストレスや低血糖が引き金となり、血圧が不安定になることがあります。野菜たっぷりの味噌汁や果物など、水分とミネラル(カリウムなど)が補給できるメニューを中心に、バランスの良い朝食を心がけましょう。ただし、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
⑦ 血圧を測定し、記録する習慣をつける
自分の血圧の変動パターンを知ることは、リスク管理の第一歩です。毎朝、排尿後・朝食前・服薬前の同じタイミングで、座って血圧を測りましょう。「いつもより明らかに高い」と感じた日は、無理な外出や激しい運動を控えるなどの判断も大切です。
■ 特にリスクが高い人
以下に当てはまる方は、モーニングサージによる脳心血管疾患のリスクが特に高いため、より一層の注意が必要です。
- 高血圧の人(すでに血管に負担がかかっているため、朝の上昇で限界を超えやすい)
- 糖尿病の人(動脈硬化が進みやすく、血管が詰まりやすい)
- 脂質異常症(高コレステロールなど)の人(血液がドロドロになりやすい)
- 喫煙習慣がある人(タバコは血管を収縮させ、血液の粘度を高める)
- 高齢者(65歳以上)(自律神経の働きが低下し、血圧調整がうまくいきにくい)
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人(睡眠中の酸欠が、朝の急激な血圧上昇を引き起こす)
- 夜間頻尿の人(夜中に何度も起きることで睡眠の質が下がり、脱水や寒暖差のリスクも増える)
■ まとめ
「朝の突然死」は、決して他人事ではありません。
特に、季節の変わり目や、脱水になりやすい時期は、モーニングサージのリスクが高まるタイミングです。
「朝はゆっくり起きる」「コップ1杯の水を飲む」「室温を管理する」
こうした小さな習慣の積み重ねが、あなたと、あなたの大切な家族の命を守ることにつながります。ぜひ今日から実践してみてください。
■ 注意事項
このページの内容は、早朝高血圧に関する一般的な情報提供を目的としたものです。個々の血圧管理や治療については、必ずかかりつけの医師にご相談ください。特に、朝の血圧が常に高い(上が135mmHg以上、下が85mmHg以上が目安)場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
■ 参考文献
- 日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019
- 国立循環器病研究センター:循環器病情報サービス「高血圧」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット:高血圧